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  • 執筆者の写真Simon Yoh

「放蕩息子」のたとえ


2021.9.19

ヨハンナ・シュピーリの「ハイジ」の物語は良くご存じでしょう。でも、あの中に「放蕩息子」の話が載っているのをご存じでしたか。

アルプスの山々を彩る夕焼けや、樅の木を揺らす風の音が恋しくて病気になってしまったハイジが、フランクフルトからおじいさんが住むアルムの山小屋に帰ってきます。頑固者で町の人たちとの交流を断った、本当はとても気持ちの優しい懐かしいおじいさんのお出迎えを受けて、山小屋にたどり着くと、すぐにハイジは本を取り出し、フランクフルトで教わった「帰ってきた羊飼いの息子」の話をおじいさんに読んで聞かせるのです。

夜、ベッドで眠っているハイジのそばで、おじいさんは手にしたランプをそばに置き、ハイジの寝顔を身じろぎもせず見つめていました。

やがて、手を合わせ、低くつぶやいたのです。

──「父よ、わたしは天にそむき、あなたにも罪をおかして、もはや、あなたのむすこと呼ばれるにあたいしません!」

大つぶのなみだが、一しずく二しずく、老人のほおを伝って、ころがり落ちました。──(矢川澄子訳)

翌日、おじいさんはハイジを連れて、ふもとのデルフリの教会に行き、教会の牧師さんはじめ、町の人たちの熱烈な歓迎を受けることになるのです。

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