2020.11.26
この世での別れはいろいろな形がある。
それが突然来ることもあれば、前もって知らされる場合もある。
遺された者にとって心残りが無いとすれば、前もって別れを知らされ覚悟していた場合だろうと思うが、それでも悔やみきれない気持ちが残ることもある。
弟の死は前もって知らされていた。
それでも宣告された余命より遥かに短く、別れは急だった。
同じ年に姉が逝った。
こちらは全く突然の別れだった。
高齢となった姉は体力が衰えてきてはいたが、秋には郷里の果物を送ってくれたし、私が独身のころにはクリスマスプレゼントをもらったこともあった。
わたしの娘の結婚式には姉が郷里から出てきて参列してくれ、わたしが娘をエスコートしてバージンロードを歩く姿を見て、姉は号泣していたと聞いている。
「母親に見せたかった」と言っていたとのこと。
そんな母思い、兄弟思いの姉だったが、電話で話をするときはどこか距離があった。
姉とはあまり親密に話した経験が無かったからだろう。
悔やまれるのは弟の方だ。
夫婦仲があまり良くなかったため、調停役を買って出たこともあったほど、私は弟の家庭に首を突っ込んだことがあった。
弟は諍いの全てを受け入れ、笑い飛ばしていた。
しかしあまりにも常軌を逸した状況を知るにつれて、わたしは弟から来る情報を拒んだ。
「もう手紙もいらない、電話もするな」
と伝えた。
それ以来弟との連絡は途絶えた。
彼が逝って、私は彼が全てを許して生きたことに気付いた。
なぜそれに気づかなかったのだろうか。
心残りなのはそのこと。
いま改めて想う。
一期一会
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