2022.01.02
窓とはいったい何でしょう。
窓は自分のいる空間と外界とを仕切り、相互のつながりを強めたり、視界を狭めたりします。
また広義で外界からの情報の取り入れ口という意味も持っています。
しかしそれだけのものではありません。
それでは窓とは、
希望に向かって心を羽ばたかせるところ?
未来へ自己を発信するベースキャンプ?
悔恨を癒すところ?
オランダの画家ヨハネス・フェルメール(1632~1675)が窓とその傍に立つ人物を多く描いています。彼の描いた窓はとても奥深い意味を持っていますね。
作者の窓とは・・・
ひとつは「心の平安」を表す手段として取り入れています。
幼子を抱く母親の姿をモチーフとしてよく採用しますが、そこに窓を配することによって、安らぎの空間がより濃密なものになるように思います。
窓の外には樹木があり、空には雲、遠くに山並みが見える。
その陳腐とも言える配材は、窓に特別な意味を持たせ、母と子の姿を非日常のものとすることを望んでいないからです。
静かな雰囲気、心安らぐ空間。
それを求めています。
ふたつ目は、吹き込む風と切り離せない存在として。
カーテンの揺れでそれを表現しています。
風は心の揺れ? いえそうではありません。
風は息吹。命あるものが生きていることの証。
爽やかな雰囲気をプラスしたいためですね。
これを強調するために、室内を暗く設定しています。
母親の心の内面を表している・・・のではありません。
暗い室内は陽光を際立たせたいためです。
世界にはいろんな窓があり、それぞれに画趣をそそられますが、窓枠の装飾が立派なものは重苦しさが漂ってしまい、上手くいきません。
一方あっさりした窓枠はどうしてもその傍の母と子のコスチュームが現代風になってしまいます。
ですが、母と子は基本的に「聖母マリアと幼子イエス・キリスト」です。
もちろん。
そこにたたずめばとても心安らぐ、そんな窓があなたにはありますか?
〈 R178 窓辺の母と子 〉
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